2012年12月1日土曜日

カンボジア北部採集記4

 
この日は今回の目的のひとつでもある幻のコイ科大型魚
 
Aaptosyax grypusを確認するためです。
 
このAaptosyax grypusの話は少し前に書きましたが、
 
1991年に記載されたばかりの新しい魚なんです。
 
体長は1m近くにまで達する大型魚でフィッシュイーターです。
 
そんなデカイ魚が今まで知られていなかったのは
 
この魚の生息域がとても狭いためだと思います。
 
メコン本流に生息しているのでどこまででも勢力を拡大しそうなもんですが(笑)、
 
そう簡単には分布域を広げることはできません。
 
この話を書き出すと、かなり長い作文ができそうなので(笑)やめておきます!
 
という感じで、とにかくこの魚はこの辺りからラオスの南部の
 
ある条件をもった水域にしか生息していないようです。
 
ラオス側の生息地は知っているのですが、今回はカンボジア側で確認するとこが
 
一番大切なんです!!
 
 
村のおじいさんの孫に頼んで朝から漁師さんへの聞き取り調査へ出発します


写真ではわかりませんが、ものすごい流れです。

 
木々の上には増水時に流されてきて引っかかった枝や流木が
 
芸術品のようにレイアウトされていました!!
 
以前にも何度か見たことがありますが、何度見てもすごいです! 
 
 
そして、もう一つすごいのがこの木々の形です!
 
増水時のメコンの流量がどれほど凄いのかを確実に僕らに伝えてくれていますよね。
 
これも自然が作り出した芸術ですね。
 
 
ラジオ体操の腕を延ばして、腰をグッと左右に曲げている時の人のようですね(笑)
 
本来ならまっすぐに補正されていくのでしょうけれど、
 
毎年やってくる雨季の増水があるので補正している時間がないのでしょうね。
 



巨木んぼ根も下流に向かって伸びていて、上流側には一切伸びていません!


マンガに出てきそうな木々たちですね(笑)


こちらは自分が反っている状態でたくさんの流木を載せていますね。

 
この辺りにもディーププールがあれば、1m未満のゴク浅の場所もありますし、
 
見えない岩礁地帯もあるのでとても怖いです。
 
そんな環境だからこそ魚も豊富なんですよね。
 
 
 
そんな景色を見ながら下流へ数キロ下ると、やっと漁師さんらしき人の小屋が見えました。

中州にある家ですが見渡す限り1軒しかありません。

寂しいですね・・・
 
 
 
早速、挨拶してAaptosyax grypusについて話を聞きます。
 

 
 
すると、もう1隻船が近づいてきたのでその漁師さんにも質問してみました。
 

 
すると、一人の漁師さんは採ったことがないそうですが知っていました。
 
またもう一人の漁師さんは昨年はこの辺りの刺し網で数ひき捕獲したそうです。
 
その魚の特徴をよく知っており確かな情報だということはすぐにわかりました。
 
でも、残念なことに今年はまだ1尾も採っていないというのです。
 
やはり年々確認する頻度も低くなっているようでした。
 
まさに幻の魚です!
 
 
プンティオプリテス、ヒュプシバルブス、ヘミバグラス、パーテーホなどなど

9種類の魚が見られました。
 
 


 
その後も数キロ走り漁師さんを見つけてはいろいろと情報を集める
 
作業を繰り返し、疲れたところで、ちょうど浅そうな砂州を見つけたので休憩です。
 
 
といっても、投網で遊ぶ?(調査です)休憩です。
 
やはり聞き取りよりも網を打っているほうが楽しいですよね。
 
 

運転してくれた少年がやらせてといったので投網を貸したのですが、

それほど上手くありませんでした。


バリリウスで有名なオプサリウス・コラテンシスです。
上がメスで下がオスでした

これまでにはたいてい少し高地の山間部の河川で出会ったのですが、
メコン本流で出会うとは思わなかったので意外な出会いでした。

イエローフィンラスボラ?というのでしょうか。
ラスボラ・トルニエリです。
この学名には諸説ありどれを採用したらよいか難しいところがありますが、
今僕はこの名で統一して使用しています。

低地(メコンデルタ)では一般的なラスボラです。

ホースフェースローチのアカントプシスsp.のスポットタイプです。

ゴク普通の魚ですがきれいです。
 
この他にもアカメフグも採りましたが、
 
撮影中に手を噛んだ際に振り払った勢いでメコンに帰ってしまいました(笑)
 
 
 
そして、昼飯も食べずに今度は引き返して村を通過し、
 
上流側を走り、漁師さんを探します。
 
Aaptosyax grypusにはちょっと緩やか過ぎる流れの場所ですが、
 
刺し網の流し漁をしている集団に出会ったのでみんなに聞き込みをしました。
 
結果は知らない人もいたくらい認知度は低く、
 
漁のスタイルや漁場によって扱う魚も違うので
 
この調査は結構、難しいものだと痛感しました!!
 



数分前にあがった魚たち

奥がコスモチルスで、前がキクロケイリクティスです。

この魚の特徴は側線がちょっと変わっていて、

チューブ状に虫が這った痕のような感じの側線をしています。

アップの写真あるので、今度また紹介しますね。


 
こんなことを繰り返しながら今日の作業は終わりました。
 
 
おばちゃんが持たせてくれた弁当(魚あげとご飯)も食べずに戻ったので、
 
家でお腹にかきこみました!
 

 
夜のご飯も魚です(笑)
 
今日は先ほど漁師さんが採っていたキクロケイリクティスです。
 
コイ科なのでやはりコイ科の味です(笑)
 
魚に香草をいれたすっぱいスープでカンボジアでは一般的なスープです。
 


大きいようですが、実はほとんどが頭です(笑)

食べることころないよー
 
そこで、咽頭歯を捜そうとほじくると、出てきました!
 
写真下の歯が咽頭歯です。
 
咽頭歯はコイ科の魚が持つ歯です。
 
コイ科はピラニアのように口に歯がありません。
 
そのかわりに、喉の奥にこの咽頭歯があり、
 
食べたものを左右の咽頭歯をこすり合わせて噛み砕きます。
 
昔、CMでコイが10円玉を曲げるやつがありましたが、
 
あれば咽頭歯で曲げたものだそうです。
 
凄い力ですよね。
 

 
 
そして、家から持参したインスタントのコーヒーをついに飲んでしまいました(笑)
 
久しぶりのコーヒーは美味しかったです!
 
お湯さえ何とか手に入れれば飲めるんですよね。
 
今回の旅ではかなり役立ちました!
 
持ってってみてよかったです。
 


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