2012年11月29日木曜日

カンボジア北部採集記3

ストントレンの町を翌日出発し、
 
今回の目的地の一つの漁村へピックアップの車に乗って出かけました!
 
この車には欧米人のバックパッカーが2人乗っていたので、先に彼らを下ろすために
 
ラオスとの国境ゲートへ行きました。
 
手前に写っているのがたぶんカンボジアゲートです。(小さいです)
 
そして奥のゲートがラオスの入り口です。(立派です)
 
 
その後、徐々にカンボジア人を村で降ろしながら進み、
 
やっと国道からそれて目的地へ向かい始めました。
 
写真下のような森の中の未舗装道路をひたすら20kmほど進みます。
 
 
そしてお客さんのいなくなった車の中で運転手のおじさんと
 
お話しながら連れて行ってもらったゲストハウスがこの家でした。
 
ゲストハウスではなく民家です(笑)
 
 
この家で2泊して近辺の魚調査の拠点にしました

僕の泊まった部屋は左手前の直径2m四方の部屋でした。

家の前の道です。
この50m奥にメコン河がありました。

 
上の写真がこの村の船着場です。
 
民家の数もざっと20-30軒ほどしかない村ですが、
 
流域の島に住む人などは生活物資をこの村まで買いに来るので
 
結構、船の行き来はありました。
 
上の写真でもわかるように、メコンというわりには川幅が狭いですが、これはほんの一部で、
 
対岸はただの島なので、この奥に数キロ先までメコンが広がっています。
 
 
流れは雨季の終わりの最高水位よりは2-3m低いですが、
 
多くの岸辺の巨木はまだ水に浸かり、浸水林となっていました。
 
この光景はカンボジアでもこの辺りしか見られない光景でしょう。
 
あの巨木の下にフォーバーなんかはついているのでしょうね(笑)
 
明日からの漁師さんへの聞き取り調査が待っていますので、
 
まずは家の人や近所の人に僕の目的を話さなければ明日からの調査はできません。
 
早速、一から話し始めて何とか理解してもらい、船の手配も終わらすことができました。
 
 
・・・となると、今日は暇になります。どこへも動けないので、
 
村の散策やいつもの日課をこなします(笑)
 
 
家のおばちゃんが収穫して明日の車で町へ売るためのミカンを準備していました

5個もらったのですが、あまり甘くなく1個しか食べられませんでした。
 
おばちゃんがあんたの夕飯を作るけれど、何がいいの?といわれたので、
 
迷わずに『魚』といいました。そしたら一緒に選びに行こうというので、
 
近くの漁師宅へ!
 
クーラーに入っていたのは皆さんもお馴染みのチタラ・オルナータ(スポッテッドナイフ)と
 
パンガシウス属の1種Helicophagus waandersiでした。
 
ナイフにするか?といわれましたが、そんなに食えないので(笑)
 
Helicophagusにしました。でも、思った以上に単価が高かったようでおばちゃんは不機嫌!!
 
そんなこといっても俺は何も悪くないからねー!!
 

これが今夜のオカズです!
この魚は僕の住むトンレサップ湖岸では食べられません。
 
飯も決まったことで、日課の洗濯と釣り、そして水浴びに行こうとしたら、
 
またおばちゃんに呼び止められました。
 
今度は何かと尋ねると、
 
 
先日、カンボジア前国王が亡くなられましたが、
 
その後、カンボジアでは月に国王の顔が映っているという噂が広がり、
 
シェムリアップでも多くの人が夜に月を見ていました。
 
それがこの山奥の村でも広まっており、
 
おばさんは大切に保管している写真を持ってきて頭の上にある月と見比べて
 
あーだこーだと僕に教えてくれました。
 
僕も負けじと、知っているよ!シェムリアップでも見えたよ!
 
といい、おばちゃんと10分ほど月を眺めました!
 
 
 
おばちゃんが大切にしているつきに写った王様のお顔

合成かどうかは皆様の想像に任せます。

もっていたカメラで月を撮ってといわれ、コンパクトカメラで渋々撮って見せた写真です。

肉眼の方が遥かによく見えます!!


いつもの洗濯は欠かせない日課です(笑)

日中だと1時間あればカラカラに乾きます。

ハンガーを今回3個もってきたのでかなり役立っています!!
 
やっと釣りが開始できました。
 
調査できない時間で一番楽しいのがこの釣りです(笑)
 
今回は春に帰国した際に2千円で買ったコンパクトロッドをもってきました。
 
この手の竿は日本では使わなかったのですが、
 
いざもって見ると安くても愛着湧いてきます(笑)
 
でも、想像以上にロッドにパワーがなく、20cmほどの魚でもやばいと思う
 
場面が何度かありました。やはり安いだけあって弱いですね。
 
リールは昔から愛用している一台のトーナメント2000です。
 
仕掛けは単純な中通しオモリをつけたぶっこみ仕掛けです。
 
針はマルセイゴ9号か10号です!
 
その間にやっと釣りができました。

釣れたのはタイヤトラックスパイニールで知られるMastacembelus armatusです。

餌は岸辺をタモでゴソゴソやって小さなエビをつけます。

こちらは以前市場の魚シリーズで紹介したMystacoleucus marginatus

もしかしたら他の種か?とも思いましたが違ったようです。

この属は背鰭の基底部の前に鱗とは反対方向に向かう棘のようなものが1本あります。

今回10尾ほど釣れたのがこのコイ科の中型魚
ポロプンティウス属のPoropuntius normaniです。

でも、なぜかオスばかりが釣れました。精子がよく出たので産卵期なのかもしれません。

意外な発見でした。
 
この後、暑すぎて早めのメコン風呂に入り、汗を流して納竿し、
 
おばちゃんが作ってくれた夕ご飯をいただきました!!
 
もちろん、おかずは先ほど買った魚です。
 

写真にはたくさん写っていますが、
 
実際にあるのは魚と白飯と魚につけるタレです。
 
魚の身を口に入れて(笑)その味を口に残しつつ、ご飯をたらふくほおばります(笑)
 
奥のナベに入っているおかわりのご飯をすべて食べつくしました(笑)
 
そのくらい疲れていたんですね。
 
日中外にいるとスタミナが吸い取られるくらい熱いです!!
 
 
こうして明日からの調査に向けて村の夜は8時に消灯し、
 
板の上での就寝にもかかわらず、僕もいつの間にかバク睡していました。

カンボジア北部採集記2

朝の儀式は船着場だけではなく、
 
それが終わると、今度は市場回りです。
 
市場は特に朝が活気づき、とても賑わいます。
 
 

サル?モモンガ?何でしょうか?

レッドコロソマはこんな魚の豊富な町でも養殖魚として売られていました。

天然魚のほうが絶対に美味しいし、安全なのになー。

レッドスネークヘッドと共に1尾だけコブラスネークが入っていました。

カンボジアではこの地域でしか見られませんし、生息数も決して多いとはいえません。

我が家でもこの産地の個体を1年ほど飼っています。
 

こちらはクラリアスです。・・・が在来種ではなくアフリカ原産のガリエピヌス種と
在来種のハイブリッドです。この魚は在来種よりも成長が早いので
改良されているものです。現在は世界中の発展途上国で盛んに養殖されています。
でも、やはりコロソマと同様にこの地域には絶対必要なものとは思えません。
それよりもこの地の多様性の低下が心配ですよね。




前回の調査で知り合ったフォーバーを集めてアクアリウムとして売る仕事をしているおじさん。
今日も漁師さんから集めていました。
もしかすると、この中の個体がタイを経由して皆さんの手元に行っているかも・・・

ですが、残念ながら弱っていたのでおじさんはあきらめて市場の魚コーナーのおばちゃんに
売りに来ました。日本だと死んでしまえば土に埋めるなどしないといけませんが、
カンボジアでは売れるんです!そしてそれを誰かが買って食べるんです!


 
今回の市場調査では約65種類の魚を確認しました。
 
これから1週間ほどかけて今回のデータを集計してすべてPCに打ち込む作業が待っています。
 
楽しい仕事ですが結構疲れます(笑)
 


カンボジア北部採集記1

 
少し時間がとれたので、カンボジア北部の採集記を紹介いたします。
 
下の写真が今回の調査地点であるカンボジア北部にあるメコン本流です。
 
写真の上の方に手のように細かく分かれている辺りから上流側がラオス領になります。
 
そのあたりから下がカンボジア領内ですので写真下のストントレンの町から
 
上流のこの辺り一帯へ今回いくつかの魚を探しに行ってきました。
 
 
写真の下の方でもメコンはいくつかの流れに分かれて流下していますよね。
 
ですので、現地に行くと、意外と狭いなーという印象がありますが、
 
それは一部しか見えていないからです(笑)
 
対岸の岸だと思っている場所は実はメコンに浮かぶ島なんです!!
 
それくらいこの辺りは川幅が広く、ここから約200km程の区間をメコンデルタエリアの低地まで
 
一気に駆け下ります。
 
そうした地理的な要因からこの周辺の環境はメコンデルタの環境とは違い、
 
一言で言うと流れが早いです(笑)
 
ということは、浅いのか?と思いますが、
 
このエリアには58箇所のディーププールという深い場所があるんですよ!
 
最深部は約60mです。
 
マジで深いですよね(笑)
 
 
 
・・・ということで、旅の様子を紹介いたします!
 
 
早速ですが、シェムリアップの町を出て4時間ほどした頃、
 
バスがいつの間にか停まっていました。
 
バク睡していたので停まっていることにも気づきませんでした(笑)
 
外を見ると、コンポンチャム州の高地にあるゴム園のど真ん中でした。
 
バスの人が全員外へ出ろ!というので
 
出てみると、何とバスが壊れたようで、すでに時間が経っていたのか、
 
代わりのバスも来ていました。
 
それに乗り換え、さらにその先の町でさらに乗り換えがあり、14時間かけて目的の拠点地である
 
ストントレンにつきました!
 
 

荷物を積み替えているところ

カンボジアでは有名なゴム農園地帯

ゴム以外にはキャッサバ畑が広がります


今回のグッズです!
今回はマイカーではなく、バスでの移動なので
酸素ボンベとデカいタンクがもって来れなかったのが痛いです!!

調査での日課である洗濯1日目

扇風機に引っ掛けると早く乾きます(笑)

でも、ペラにあたると危ないので注意が必要です!!


上の写真は翌日の船着場です!やっと調査開始です。
 
写真の手前に見えている川がセコン川というメコンの支流です。
 
メコンは写真中央から右にかけて見えるセコンの右岸の岸の裏側にあります。
 
ですので、写真中央から左側の水面すべてがセコンとメコンとの合流点です。
 
この写真だけでもメコンのデカさがわかると思います。

 
船着場では毎日魚たちが船から上がり、
 
市場などへ運ばれていきます。
 

 
 

コスモチルスやメコンギナが山盛りでした
 
 

こちらはイエローミスタス?の名で有名?な
ヘミバグラス・ネムスル

淡水カレイもまだ生きていました。大きいです。


こちらはScaphognathops stejnegeriです。Scaphognathops属は3種いるのですが、
その中でもレアな1種です。おちょぼ口が特徴です。


フォーバーも少しですがあがっていました。
やはり予想どおり生殖腺はあまり成熟していませんでした

以前紹介したラベオの仲間、エリソロプテルスです。
メーター級のサイズでした。
こんなのを活かしてもって帰って水槽で泳がせたいですね。

上のラベオの口です。
まさにラベオ属ですね!!

こちらはIUCNのレッドリストにも入っているセブンストライプバルブ?の

プロバルブス・ジュルエニです。

このサイズでもまだまだ小型です。

こちらもこの辺りではスタンダードな魚たちです。

バイクにくくりつけられていた網に入っているトカゲ??

こちらは同じくバイクに下げられていたビニール袋

中身は犬でした!!
 
こんな感じで朝の儀式を終えてほぼすべての魚を片っ端からチェックしました!!

この後もちょくちょくレポートいたします!



ダトニオプロジェクトの方も応援よろしくお願いいたします。

 


2012年11月28日水曜日

調査より帰りました

みなさんこんにちは。

昨夜、調査からやっと帰りました。

頭痛や腹痛にもならず、無事に帰ることができました。

今回は予定よりも少し長くなってしまいました。

その理由はお目当ての魚に出会えず、メコン河の村を移動していたためです。

これから今日明日と、水槽のメンテがあるので

また時間が取れ次第、調査の様子をアップいたします。

それでは!

2012年11月18日日曜日

明日より調査

明日より約1週間地方へ調査へ行ってきます。
 
今回はバスで移動なので荷物の制限があるためPCは持っていけません。
 
本当は現地からいろいろな情報をアップしたかったのですが、
 
漁師さん宅に泊まる事になりそうなので、ネットは使えそうもありません(笑)
 
 
また帰り次第、チョコチョコ情報をアップしていきますので、
 
今後とも応援よろしくお願いいたします。
 
 
本日もダトニオTシャツの注文いただきました!
 
本当に皆様のお陰です。
 
ありがとうございます。
 
 
 
 

2012年11月17日土曜日

ダトニオプロジェクト31

みなさん、こんにちは。
 
 
ダトニオプロジェクトも立ち上がってから半年が経過いたしました。
 
プロジェクトはまだ始まったばかりで手探り状態ですが、
 
 
これまでにTシャツを皆さんと考えて作り、販売を開始したことで
 
自分自身、プロジェクトに対する意識がより一層高まってきたように感じています。
 
これも皆さんのお陰です。ありがとうございます!
 
 
 
明後日からの調査はAaptosyax grypusとその水域全体がメインの調査ですが、
 
ダトニオ調査も忘れることなく行ってくるつもりです。
 
 
特に、この地域はフォーバーの生息域なので、
 
昨年の同じ時期に一度確認はしていますが、再度生殖腺の発達具合もチェックしてきます。
 
 
これからも応援よろしくお願いいたします。
 


市場の魚シリーズ78(Wallago attu)

 
今日は市場の魚シリーズ78(Wallago attu)です。
 
前回に続き、ナマズの仲間Wallago属です。
 
Wallago attuも昔からよく知られる東南アジアの大型種ですよね。
 
逆に最近はあまり見かけないくらい知名度は高いですよね。
 
日本での人気はさておき、インドシナでは今でも
 
大河メコンでWallago attuが元気に泳いでいます。
 
 
 
この魚はレリーと同様に1mを越す大型ナマズです。
 
よくメコンでルアー釣りすると、この2種なんかは最適なターゲットになるのでは?
 
と聞かれますが、実際にメコンでこの2種を計画的にターゲットとして釣るのは
 
難しいと思います。
 
確かにたくさんいますし、形も70-90cm級がよく市場で見られます。
 
でも、あの広いメコンで狙うにはちゃんとした予備調査やポイント選びなどしっかりとした準備が
 
必要だと思います。ですので、そう簡単に釣れるものではないのではないでしょうか。
 
 
 
でも、もし掛かれば日本のナマズよりはトルクがありそうですよね。
 
それでも、ライトなバスタックルで十分に対応可能だと思います。
 
そう考えると、アマゾンはすごいですよね!!
 
お金があれば(笑)一度ルアー釣りしてみたいですね。
 
 
明後日から行く調査場所はWallago attuの生息地でもあります。
 
大きな個体に出会えればいいのですが・・・
 
上の写真のような大型バルブやバガリウスなどにも会いたいですね。
 
今回は経費を節約してバスでの移動です。
 
ですので、大きな生簀や酸素ボンベも持っていけないので、
 
調査用具は最小限にしなければいけません(そこがとても辛いです!)
 
今回はAaptosyax grypusがメインですが、
 
そのほかにも数種類探している魚がいるので出会えるといいのですが。
 
 
 
現地でのダトニオTシャツの販売は順調です。
 
皆様の応援よろしくお願いいたします。