2012年4月23日月曜日

市場の魚シリーズ11(フグ)

今日は久しぶりの市場シリーズです。

やっと11回目ですね。

今回はトンレサップ・メコン水系に生息するフグ(Monotrete cambodgiensis)です。

このフグに毒があるかはわかりませんが、
カンボジア人は皆よくこの魚を食べます。
という事は大丈夫なのでしょうか?


本種は上記の地域においてよく見かける種なのですが、

中河川以下の狭い水域には進入しないようです。

これまでたくさんの水域で調査してきましたが

水路や小河川では見たことがありません。

反対にトンレサップ湖・川やメコン本流にはたくさんいます。

カンボジアにはこの他に何種か淡水性のフグがいますが

中には僕の住む家の前の川でも見かける種もいます。

フグはフグでもそれぞれ生息範囲が違う事がよくわかります。



この魚の学名を見ると分かると思いますが新種記載論文に使われた

模式標本(ホロタイプ)がおそらくカンボジアで採れた個体だったのでしょう。

本種の記載論文は見たことありませんが、

この種を記載したChabanaudさんは楽しかったでしょうね!

インドシナとりわけカンボジア・タイ・ベトナムに生息する魚の多くは

1800年代から1900年代の頃に多くの種が記載されています。

その当時活躍したのがHamilton, Bleeker, Tirant, Cuvier, Valenciennes, Fowlerなどなどの

学者さん達です(まだまだたくさんいますが)。

当時は採集するものすべてが新種だったころですよね。

でも、この地域の魚たちの分類がきちんと整理されていない時代なので

好き勝手できる半面で苦労も多かったと思います。


この個体は先週アップしたトンレサップ川沿いの漁師さん宅のベランダから雨季に糸を垂らして釣った個体です。
先日は乾季でしたが、こんなところでも釣れるんです!
餌(冷凍川エビ)にもすぐに慣れて人懐っこいフグです。
我が家でも今1尾飼育していすが、もう1年半くらい元気で泳いでいますよ。

そして先人の方々の苦労のお陰で今私たちはこうして魚を飼う楽しみがあるんです。

魚調査をしていてよく思うのですが、

もし、今が200年前だったらどれだけの魚がここにいるのだろう?

ダトニオもここにいたのかな?

なんて想像してしまいます(笑)

でも、現代に産まれた以上、今を楽しく生きなくてはいけませんよね!

メコン水系では毎年1000種ほどの動植物の新種が見つかっているそうです。

それほど、この地域は未開拓だという事なのですが、

種の多様性を豊富に持っている地域だとも言いかえることができますよね。

これからどんどんメコン地域の生きものの実態が解明されていくと思います。

皆さんも楽しみにしていてください。

いつかお気に入りの魚が見つかるかもしれませんよ。


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