スゴく久しぶりの市場の魚シリーズです。今回は93回目となりますが、
コイ科のHemiculter leucisculus(ヘミクルター・レウキスクルス)を少しご紹介いたします。
このHemiculter leucisculus(ヘミクルター属)ですが、
実はメコン水系にいるとは思ってもいなかった魚なんです。
ただ単に知識不足だったといえばそれまでなのですが・・・
この魚は以前仕事をしていた琵琶湖博物館の中国水槽コーナーで飼育展示していたため、
僕自身、馴染みのある魚で、中国へ採集調査へ行ったときもこれらの仲間を採集して、
集めたこともあるので、このグループは長江などの中国や、
ロシア方面の魚だと決めつけてしまっていたんですね。
琵琶湖博物館の展示水槽 |
そんな魚ですが、
今年初めに訪問したプノンペンの水産庁の液浸標本収蔵庫で
標本を見つけて驚きました。
確かに、メコン上流部は中国エリアですし、
大陸の魚とインドシナの魚が混ざり合うエリアでもあります。
よくよく考えれば、
タナゴの仲間(Acheilognatus属)もメコンにいますから、
いてもおかしくないのでしょうが、ホントに驚きました。
しかも、メコンとはいっても、
遥か数千キロ下流のカンボジアですからね。
でも、カンボジアでは実際にかなりレアな魚です。
もし、この魚がいれば見慣れた魚なので僕は
絶対に見逃さないですからね。
きっと、上流からごく少数の個体群が流下してきたのでしょうね。
また、このHemiculter leucisculusの仲間はクルターの仲間ですので
日本とも縁のある魚で、日本に生息する魚ではワタカと一番近い魚ですよね。
大陸とつながっていたころは日本にもご先祖様がいました。
化石などが見つかっているようです。
特にコイ科は咽頭歯という喉の奥にある歯が発達しており、
種によって特有の形があり、
しかも、とても硬いので現代にも化石として残るそうです。
記録としてはしっかりと残しましたが、
実際に一度見てみたい魚の一つですね。
まだまだ謎の多い大河メコンです!