続いてのカンボジア北部採集記の舞台はさらに奥のラオスとの
国境の村アンロン・チューテアルです。
2003年にも一度訪れて調査をしたことがある村です。
ここはカンボジアやラオス側からも観光客が1日数組来るところです。
こんな村になにがあるのか?というと、
川イルカ(イラワジイルカ)が生息している水域なんです。
村からのメコン河 この辺りにイルカが生息しています。 向こう岸はラオス領です。 水深は手前から5m、10mと深くなり、中央付近は40mくらいあるそうです。(漁師さんによるとですが) |
現在、イルカは8頭確認されております。
でも、現在子供は確認できていないので今後の生息数確保が懸念されています。
この写真に写っている陸地はすべてラオスです。 |
以前、イルカの調査チームが来たときに
個体識別するためにイルカの観察調査をしたそうです。
ですので、それに関わった村のカンボジア人も今では識別できるそうです。
僕も2日間滞在して、早朝の漁と市場回り、聞き取り調査以外はほとんど暇だったので、
イルカの識別に挑戦していました(笑)
お陰で3頭はわかるようになりました(笑)
識別法は簡単で背中のでっぱり(ジョーズが水面から出すあの三角のやつです)の形が
みな違うみたいです。外洋の鯨なんかは尾びれの形で識別しますよね。そんな感じです。
今回滞在する村が見えてきました。 |
イルカの調査をした際に水中にマイクを沈めて音を録音したそうなのですが、
その時にイルカの高い音キーキーという声以外に
ウーウーという怖い声がたくさん聞こえたそうです(笑)
手伝ったカンボジア人はとても怖がったそうです。
その犯人は以前市場シリーズでも紹介したBoesemania microlepis(淡水イシモチの仲間)でした。
イシモチの仲間なので胃袋を振動させて鳴くんですよね。
カンボジアではトライ・パーマーといいます。
今度、魚屋さんでイシモチが売っていたらぜひ食べてみてください!
頭骨の中に耳石という石の器官があるのですが、このイシモチの仲間は特にその耳石がでかい
ので、イシモチという名がつけられているようです。
僕も子供の頃は江ノ島の近くで投げ釣りして釣った覚えがあります(笑)
また食べたいな!
イルカを紹介するポスター こんなシーンは見たことないです・・・ |
まず、最初に泊まる家を探し、そこのおじさんに今回の調査目的を伝えました。
そして、最初にお願いしたのはラオス国境にあるコーンの滝群を見ることです。
この滝はラオス南部からカンボジア北部のこの辺りにかけて何段もの滝がメコンを下る
場所です。ラオス領内での最大幅は16kmもある場所があります。
その間にはいくつもの島が点在し、特異な水域を形成しています。
ですので、フランスやヨーロッパ諸国がこの地を侵略し、流通経路を確保しようと
しましたが、この滝の存在が立ちはだかり、苦労したそうです。
それは今でも変わりなく、メコンを大きく分断する滝となっています。
そのくらいこの地は落差がある地形でその岩盤が人の行く手を阻んでいるのでしょう。
カンボジアに一番近い滝へは村から10kmくらいです。
今回は経費削減のため船を避けてバイクにしました(笑)
もちろん途中の川を見たかった気持ちはありますが、
それ以上に内陸を走ることで小さな川などの水域を確認しておきたかったのです。
もしあれば、あとで調査にいけるので!!
道を進むと、見えるのは小高い山々と木々だけです。
この辺りはキャッサバ畑が山の斜面にたくさんあり、
水産だけではなく農業も盛んのようでした。
キャッサバの畑 |
畑の人の家 |
道路に収穫したキャッサバを小さくカットして干します。 これにより毒素を抜くとか・・・ 発酵しているのか風向きによって強いにおいが鼻を襲います(笑) |
そうこうしているうちに滝が見えてきました!!
久しぶりに見る滝は言葉では表現できないくらい凄いものでした。
なんといっても水の勢いというか圧倒的な水量は圧巻でした!!
ストントレン州を訪れるなら是非行ってほしい場所です。
雨季の真っ盛りであればさらに水量が多いのでもっと凄いでしょうね。
2003年の訪問時は船でここから数キロはなれた方の滝を見ましたが、
ちょうど9月だったので今以上の迫力でした!
場所や季節によってはこの激流にヤナのような仕掛けがあり、
いろいろな魚が見られるのですが、今回は見れませんでした。
それにしても、この激流の中にいる魚たちを見てみたいですよね。
バガリウスのメーター級の個体がウヨウヨしていそうですよね。
滝の上流側に移動すると小さなプールがあったので魚をチェックしました。
確認できたのは数日前にたくさん釣ったポロプンティウスと
Schistura sp.、Nemacheilus pallidusでした。
今回はこのくらいの水域しか攻められないのが残念です(泣)!
ポロプンティウスの群れ |
実は、地図上でこの地点はラオス領ですが、
滝の上は浅く流れが速く、
まさに今回の目的のひとつであるAaptosyax grypusの産卵場所だと思いました!
文献を見る限りこんな地形では?と想像していた場所です。
小船に乗ってでかい網目の投網か刺し網を仕掛けたい気持ちでかなり興奮してしまいました(笑)
少なくともこの景色の中に数個体はいると思います。
とても悔しい思いでしたが、滝の撮影を存分にして村へ一旦引き返しました。
滝の近くにあったパパイヤです。 カンボジアにはこの風景はよく見られるので今までは何とも思いませんでしたが、 Aaptosyax grypusが採れない悔しさでパパイヤを見るとAaptosyax grypusのことが 思い浮かぶようになってしまいました(笑) パパイヤは何も悪くないのにね(笑)ごめんね! |
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