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2018年9月18日火曜日

琵琶湖の水族たち


今日、ノンフィクション作家の山川徹さんから

友達経由で産経新聞の「琵琶湖の外来魚に異変」

という記事をいただきました。


記事によると、

12年度に本格的なバスギルの捕獲を開始してから、

19年度の543トンをピークに昨年度に176トンまで減少し、

昨年度(4-7月の4か月)は76トンでしたが、

今年度はわずか34トン(半分以下)しか採れていないため

なぜバスギルが減ったのか?

・・・という内容でした。

まさにミステリーです。


またギルがともかく減った!

今年はバスの稚魚が異常に多い!

バスとギルの捕食関係についての議論!

中でもギルのサイズと個体総数に関する内容・・・



などが書かれていました。





去年も今年も帰国した際に

このブログでも少し触れたので重なりますが、

たった数週間の琵琶湖滞在でしたが、

その中で実際にフィールドを見て、魚を釣って、

魚を採って、さらに潜って見た結果、

10~20年前と比較すると

琵琶湖の魚を始めとする水族たちの環境が

変化していることをすぐに感じることができました。


そんな事もあり

もし自分が琵琶湖にいたら、

魚屋なのでいくつかの魚種をメインとする視点から調査研究したいな~と

思いを書いた覚えがあります。

こんなに興味深くて壮大なテーマもそうそうないですからね。

これを書いている今も思わずうずうずしちゃいますw



ここからが本題ですがw

もう琵琶湖の住人ではない素人の話です。


僕がこの件に関する感覚を自分で得たのは

いくつか道筋があり、

この記事とは少し違う視点からなのですが、


まず一つ目はバスに関連することで

この10年くらいでバスの大型個体がだいぶ増えたなという事です。

琵琶湖ネタはカンボジアからもいつも見ているのですが、

先ずは近年デカいバスを釣る人が増えたな・・・とw

実際に自分も昔ナマズを釣りまくっていたいくつかの水路で

釣りをするとデカいバスが簡単に釣れるんです。

新聞では琵琶湖在来種の脅威となっている

バスギルの漁獲数の変動に注目していますが

ここも大きなキーになると思っています。



二つ目は琵琶湖の住人だった頃に

共同研究でやっていた県内の魚分布調査の結果で出た

エコトーン(移行帯)という言葉が今とても気になっています。

当時の研究では琵琶湖と湖を取り巻く連続した水域において

あるラインを境にバスギルと在来種とが棲み分けしているという

研究結果を出しました。

あれから10年ちょっと・・・

それがもしかしたら変化しているのでは?

当時釣りをしても投網を使って採集しても

何度やってもいなかった水域に稚魚から50アップのバスとギルが

ごく当たり前にいるんです。

一本の河川なら人による移入も考えますが、

在来種が多く好きだった何本もの水路や河川すべてで

そんな魚類相に変わっているんです。

これだけ見ても確実に10-20年前とは

バスギルの生息レンジに変化がある事は間違いないです。

そうなると、

当時の研究結果で出たエコトーンラインが

変化しているという事ですよね。

琵琶湖水系にバスギルが入って何年経つんでしょうね・・・

当時は又聞きですが、湖岸に無数にいたカワバタモロコやイチモンジタナゴが

姿を消したそうで、当時を僕は何度も頭の中で想像したか数えきれないくらい

思い描きましたね(笑)!


ここで思うのはなぜこのタイミングで彼らはエコトーンを越えたのか?

ここではこれが僕にとっての興味深い大きな謎のひとつです。



ここまでならまだいいのですが(笑)

さらに驚く事があるんです。

今度は逆に在来種に関してです。

当時、僕は琵琶湖と琵琶湖を取り囲む地域で

何年もほぼ毎日魚採りをして過ごしてきましたw

そんな中で琵琶湖固有種であるコイ科のワタカという魚がいるのですが

この魚と容易に出会うことができたのはある琵琶湖の内湖くらいでした。

それ以外だと、本来の生息地ではない霞ヶ浦や北浦、

山陽、九州に行った方が移入種扱いですが

簡単に採れるくらい琵琶湖では生息地が限られた魚でした。

そんなワタカが今夏に琵琶湖面から高い水域(流入河川)で

たくさん確認できたことです。

このエリアは(たぶん)逆水も使っていないエリアだと思うので

大水などのタイミングで遡上したのか??

と驚きました。

さらに当時毎年何度も投網調査をしていた琵琶湖岸の水路でも

今夏の夜間に良型のワタカを確認しました。

もちろんその水路でのワタカ採集記録はこれまでありませんでした。

このようにワタカの確認できる水域にも変化があるのは確かな事だと言えると思います。

(もしかしたら僕が知らないだけでこの数年に何かのイベントで

大量のワタカを各地に放流した!とか落ちネタがあるかもしれませんがw)

なので、8月にワタカを確認した時には

よくここまで来たな!

良く増えたな!

と嬉しく思いましたが同時にこれが人の手が入っていない現象ならば

水の中で何かの変化が起こった結果だとすぐに感じました。


ここまでバス・エコトーン・在来種のワタカについて

書きましたがここでの大きな謎は

脅威であるはずのバスギルが海(湖)から内陸(河川、水路)へ入ったという事実と、

ある意味逃げる側の在来種ワタカも同じ水域に出現した事です。

(もっと言えばワタカは増えていると推測できます)

ここがもう一つの僕の知りたい謎ですw



三つ目は昨年、今年共に

琵琶湖北西部に潜ったのですが(遊び程度です)、

在来種ばかりでバスギルを見たのは大小限らずほんの少しだったことです。

今夏に限って言えばわずか100m四方にも満たないエリアだけですが

バスを見たのは2個体だけ(200mm前後)、

ギルはゼロ。

その一方で浅い岸際をいくつもの群れで泳ぐ湖アユ、

小さな群れで泳ぐオイカワ、

時々単独で泳ぎ去るハスとニゴイ、

浅場の障害物まわりでうろつく無数のビワヒガイ、

その他の底モノたちw、

と、琵琶湖内で在来種たちの姿が今も多かったのは嬉しかったですね。

これはいくらバスギルと言えども

膨大な水量、水深の幅、在来の生物相とその資源量や

その他の様々な環境条件があっての今がある!と僕はいつも思っています。

ここでいつも思うのは、

バスギルが侵入した水域では在来種が絶滅したり、

少し大きな水域だとバスギルが増加しその他の資源が減少し、

いつの間にか資源が少し回復して逆にバスギルが減る、

こんな単純ではないですが、この様な増減の山を繰り返したり、

だんだんその波が小さくなりあるラインで安定したりしていますが、

上記の様な他にない条件をもつ琵琶湖では

違う道筋を辿っているのでは?

もしくはバスギルが定着してから大分経ちますが

実は一つ目の相互の増減の「波はいまだにひとつ目なのでは」ないか?

とさえ思ってしまいます。地球上でも過去にない例だと思いますが、

もしかすると、まだ誰も僕らヒトが気付いていない事が

いくつもの条件が重なって起きている可能性がとても高いのかな~

と。



長々と素人目線で綴りましたがw

現在の琵琶湖の水族たちの変化はいずれにしても

今年のバスギルの増減とギルのサイズだけではなく

琵琶湖博物館の中井さんのコメントの様に

ギルが摂取するプランクトン調査などをはじめ、

琵琶湖とその集水域全体の水生動植物、水質の他、

昨年のアユの産卵数減少の原因、

その他在来種の現在の分布域の再確認と過去の比較とその要因、

野洲川河口の砂の堆積問題をヒントに各河川の河床や水質調査などなど

地質学も含めてすべての水環境分野での研究がとても大切になり、

その結果からしか本当の現在地は見えてこないのではないかと感じています。

今起きている事の原因は何なのか?実はスタートは無くて

その前から絶えず起きている変化のひとつなのではないかと。


とても大変な研究になりますが

古代湖として生き続ける

400万年の歴史の一部である今を最良の形で未来へつなげるためには

今の努力がなによりも大切だと思っています。

(知ったかぶってしまいすみません!)

琵琶湖を見守る各分野にはすごい研究者さんたちが

たくさんいらっしゃるので今こそ

力を合せて少しでも良い方向へ進むように

琵琶湖に力を注いでいただきたいというのが

琵琶湖好きの僕らの気持ちですよね。




・・・これは今の僕のフィールドでもある

カンボジア、さらにはインドシナ半島でもいえる大きな課題でもあります。


魚屋としてはその研究の一端として

魚分野で記録を残せればこんなに嬉しい仕事はないですよね。


これを書いていて自分で気が引き締まりました。

知らない事を、

気付いた事を、

突き詰めるには

行動しかないですからねw


気張りますっ!



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