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2016年11月29日火曜日

イルカの現状


ラオス国境の村に滞在中にメコンのカワイルカを見てきました。

ここへ来た時は必ず見に行くのですが、

その状況を聞くと、想像以上に厳しい状況に陥っているようでした。

下の写真は本物のイルカではなく村の展望台に設置していたイルカのモニュメントです!

それすらも撤去したのでしょうか?


下の写真は乾季に見られるイルカの生息地で

比較的大きなディーププールになっており

水深も約40メートルほどあります。

しかし、おじさんに聞くと、今はここにはいないというのです。


という事で、

船に乗って上流側へ約3キロほど移動したところで

カワイルカに出会うことができました。

このエリアには今年の春にも訪問しており、

その時の話だと昨年は6頭いたのが4頭になったとの話でしたが、

この日の話ではすでに1頭減り、

3頭しか残っていないというのです。

しばらく観察しているとイルカの動きがわかり、

数を何度も数えましたが、

やはり3頭しか見当たりませんでした。


オジサンの話では

雨季の水量がある時期は

この辺りまで移動して規模の小さなディーププール周辺につくこともあるそうです。

この日も村の前の広いディーププールと同様の水深40メートルの

小さなプール周辺にいました。


さらに話を聞くと、

対岸のラオスの岸辺に採石場かな?が2014年から作り始め、

昨年から本格的に稼働し、夜間にもライトアップをするそうで

村の前の広いプール周辺にもその光が届くため

イルカが嫌がるそうです。

さらに昼間は大きな騒音がするので

音に敏感なイルカにとっては居心地が悪いのでしょうね。

ラオス側に作られたものですが

マレーシア資本の会社だそうです。

でも、どこの国が作ろうともイルカにとっては関係ないですし、

周辺の自然環境が悪化しているのは確かですよね。

その夜に釣りをしたのですが、

確かに工場の光は夜とても明るかったのを確認しました。


そうした環境悪化の要因はたくさんありますが、

なんといっても残っている個体数があまりにも少ないことはさらに大きな問題です。

オジサンの見立てではこの数年イルカの子供を見かけないことから、

残っている個体はすべて雄か雌なのではないか?と

危惧していました。

実際にこのメコンにはここだけではなく

下流のエリアにも数か所まだイルカの集団が生息しており、

そこではまだある程度の個体数が確保されています。

でも、同じ河川に棲む同じ種とはいえ、

その他のエリアのグループと交わらないイルカたちは

それぞれの地域にしかない限定された個体群ですので

生きものを見る時にとても重要な課題となります。

少なくなったからといって

他の地域から持ってくればいいという訳にはいかないんですよね。


ですから、

このエリアのイルカたちは相当大きな危機に瀕していると

断言しても良い状況だと言えます。


イルカは魚ではありませんが、

同じ水域を利用する生きものですからその行方が気になります。



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