今日は僕にとって大切な人である琵琶湖の漁師さん福田さんをご紹介いたします。
通称「福じい」とは琵琶湖の水辺展という企画展を仕事で担当した時に出会いました。
初めて出会ったときから、福じいは漁師であることに誇りを持ち、
琵琶湖の魚を見つめ続けるストイックな姿勢に僕はすっかり惚れこんでしまいました。
そんな福じいが亡くなっていた知らせを今日カンボジアで聞きました。
嫁と二人でだいぶ落ち込みましたが、
落ち込んでいたら福じいに叱られそうですので、
今日はブログで琵琶湖漁師の福じいを紹介しようと決めました。
福じいは琵琶湖の湖西エリアで年中漁師をしていました。
寒い冬はワカサギ、春に近づくとニゴロブナ、そしてコアユ、
暑い夏にはビワマスなど、季節に合わせて様々な魚を採っていました。
上の写真は琵琶湖の沿岸にある内湖で産卵のために琵琶湖から進入してきた
ニゴロブナをモンドリで採る漁です。
この時の船には船外機はないので竹竿を巧みに操って進みます。
上の写真は真剣な表情で漁をする福じいです。
これまでに撮った福じいの写真はたぶん千枚以上ありますね。
おそらく嫁の写真より多いです(笑)
そして知りあった翌年くらいに福じいから弁天様を採ったぞ!と連絡が入りました。
それが下の写真のビワコオオナマズの白化個体です。
ビワコオオナマズはもちろん琵琶湖淀川水系の固有種ですが、
この色をしたオオナマズは昔から弁天様のお使いとされ、
大切に扱われてきた魚です。
しかも、この時は何年ぶりかの捕獲だったので、
新聞や全国TVなどでも取り上げられ話題となりました。
この魚は滋賀県立琵琶湖博物館に寄贈されました。
今も元気にしているといいのですが・・・
下の写真は琵琶湖でのニゴロブナの刺し網漁です。
琵琶湖は内陸の淡水湖ですが毎日風や天気図と睨めっこして
湖水の流れや濁り、魚の動きなどを推測し、
翌日の漁でしかける場所や網をあげる時間帯などを決めます。
そんな時の話をしている福じいはまさに漁師さんでした。
本当に楽しそうで、こうした時間は僕にとっても魚話ができる
時間なのでまさに至福のひと時でしたね。
長い経験から裏付けされた予想は大きく漁に影響します。
その予想がハマった時の福じいの嬉しそうな顔が忘れられません。
そして、採った魚はフナずしや煮つけにされます。
下の写真はフナずしの下ごしらえをしている様子です。
福じいのつくるフナずしはこれまでに食べてきたフナずしよりもマイルドで
酸っぱさと水くささが少なく柔らかい身で本当に美味しいんです!
僕ら夫婦は何度かフナずしつくりを教えてもらい、
自分たちでもフナずしをつけていました。
まあまあ我が家のフナずしも美味しいのですが、
福じいのフナずしには敵いませんでしたね!
それくらい絶品でした!!
そのわけは福じいが言っていたように
いつも改良する気持ちがあるからだと思います。
いつもお宅に寄せてもらうたびに試食でフナずしを食べさせてもらうのですが、
美味しいと感想を言うと怒られます(笑)
甘すぎる、辛すぎる、硬い、臭みが残っているなどなど、
正直な感想をいつも求めてくれました。
いつも謙虚で自分のやることには妥協がありません。
漁そのものもそうですが、魚の加工まで福じいが
取り組む事に関してはなんにでもストイックでした。
下の魚はフナずしになるフナですが、
もう食べられないと思うと寂しいですね。
福じいと一緒にフナずしをつけている時の写真です。
この時にもよくカンボジアの漁の様子などの話をしました。
国は違えども、同じ漁ですのでよく質問攻めにあいましたね(笑)
なので、本当は一度カンボジアに旅行で来てもらおうとしていたのですが、
叶わなかったので残念です。きっとカンボジアに来たら
いろいろな漁を見て喜んでくれたでしょうね。
同じアジア圏の国同士なので
日本に古来から伝わる伝統漁で使う漁具がはるか遠いカンボジアでも使われている
事を知ってとても驚いていました。
こちらは夏の魚でもある琵琶湖固有種のビワマスです。
この時期のビワマスは刺し網で採りますが、
脂がのってとても美味しいんですよ!
この時も採れたてのビワマスの刺身をいただきました。
福じいには長い間いろいろな事を教わりました。
その間に教わったことが今カンボジアでの生活や研究に役立っています。
僕も一つの事に向かってストイックな探究心を持ち続けて
カンボジアでがんばっていこうと改めて考えさせられた一日でした。
今度帰国した際には琵琶湖を見に行こうと思っています。
そして大先輩漁師さんにも会いに行きたいです。
福田さんから教えてもらった事を自分のものにして
それをまた次の代に引き継いでいけるような魚バカになりたいですね。
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