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2013年5月22日水曜日

カンボジアのフグに注意!!

 
久しぶりのアップです!
 
最近は5月病なのか?連日の暑さのせいか?、
 
先月までの慌ただしさとは真逆でボーっとする日が続き、
 
かなりイケてない日々を送っています(笑)
 
 
そんな中で、先日店の近くでお土産屋をしているお爺さんが読んでいた
 
カンボジアの雑誌(日本の週刊誌の様な雑誌です)の中に
 
魚の情報が載っているのを嫁さんが見つけて借りてきてくれました!
 
 
 
その内容はカンボジアに生息するフグ3種には毒があるので
 
食することを避けるように!という記事でした。
 

 
この話はダトニオ調査の真っ最中であった3-4月頃に聞いていたので
 
政府関連の機関が危険を呼びかけていることは知っていましたが、詳細については
 
知らなかったので有難い情報となりました。
 
 
訳してみると、これまでに4回大きな事件があり、
 
そのうちの11人が亡くなり、10人が入院するという事態になっていたようです。
 
フグ毒といえばテトロドトキシン(Tetrodotoxin)が有名ですよね。
 
他にはサキシトキシン(Saxitoxin)やハコフグが保有するハプトキシンなどもあります。
 
この肝心の毒はどこにあるかというと、
 
一般的には内臓、血液、筋肉、皮膚などですが、
 
今回の雑誌でも適切に卵巣、肝臓、腸、皮膚などにあると記されていました。
 
また、フグ毒は季節によっても保有する毒の量が違い、
 
産卵期の卵巣が発達する時期は特に気をつけるよう警告していました。
 
 
 
実は3月頃までシェムリアップの町でもフグの干物が多く売られていたのですが、
 
その頃からパタッとフグの干物が乾物屋さんから消えていたんです。
 
なぜだろうと思っていましたがこれが原因だったんですね。
 
 
カンボジアで干物に利用されるフグは1種のみで
 
Tetraodon cambodgiensisMonotrete cambodgiensis)が使われます。
 
その理由はたぶんですが、15cm程に成長する魚なので
 
他のフグよりも大きいためだと思われます。
 
確かにハチノジフグやアカメフグでは干物はつくれませんからね。
 
(現在僕はコテラット氏に従いMonotrete属で整理しています)
 
 
ここまでは適切な記事なのですが、肝心の3種のフグの情報が曖昧なんですよね(笑)
 
まず、一番左のフグですが、
 
写真はTetraodon cambodgiensisMonotrete cambodgiensis)、
 
説明文はTetraodon cochinchinensis(Monotrete cochinchinensis)
 
なので完全な別種です。
 
左が大きくなるcambodgiensis、右がcochinchinensisです
 
 
中央のフグは
 
写真がMonotrete turgidusと思われ、
 
説明文はMonotrete leiurusとなっています。
(実際に僕の調査ではこの13年間leiurusと思われる種は見たことがありません)
 
この2種に関しては学者さんの間でも整理ができていないようですので
 
何ともいえないところです・・・。



そして最後の右側のフグは
 
あの有名なミドリフグと思われます。
 
ミドリフグの学名はTetraodon nigroviridisを採用することが多いのに対して
 
この記事に書かれているTetraodon fluviatilisは誤同定の名として扱われることが多いので、
 
あまり適した表記ではないと感じました。


このあたりの扱い方はとても難しいですが、
 
人の命にかかわる記事であればその責任は大きいですからね。
 
 
名前なんて学者さんとアクアリスト以外は実際はどうでもいいのですが(笑)、
 
もし、写真が間違っている場合、
 
専門家でない限り写真でその危険性を判断しますので、
 
大惨事になりかねません。
 
 
また、そもそもフグ毒に関しては専門でないのでわからないのですが、
 
今回提示された3種以外のフグは大丈夫なのか?という点です。
 
記事にもカンボジアには10種のフグが生息しているがその中の3種しか危険性を示していません。
 
分類の視点から推測すると、
 
今回あがった3種(TetraodonとMonotrete属)は他にもいるんです。
 
本当に大丈夫なのか?心配です。
 
 
 
 
今回の記事からもわかるように
 
まだまだカンボジアでは基礎的な情報や知識がそれを扱うカンボジア人に
 
備わっていない事が危惧される実例を見たように感じました。
 
 
そのためにもこれからの調査の重要性を感じながらデータの一日でも早い公開方法を
 
探っていかなくてはいけませんね。
 
いつかこの調査の結果がカンボジアに役立つと良いですね。
 
というか、役立てなくちゃいけないですよね!!

 

 
 

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