20年前に初めてカンボジアの淡水魚に出会い、その後夫婦でカンボジアへ移住し、カンボジアに生息する淡水魚の分布調査を中心に、個々の種に対しての研究を始めて11年目になります。そんな中で見てきたことを東南アジアとりわけインドシナの魚好きの方たちに見てもらえると嬉しいです。今や知らない人はいないくらい有名な魚達がこの地域にもいますが、実際に現地の様子を知っている人はほとんどいません。そんなカンボジアの魚たちを知ってもらえると幸いです!
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2012年1月26日木曜日
山間部の調査(ビッグアルジーター)
今回はトンレサップ湖の西側にそびえるカルダモン山脈の様子を紹介いたします。
この山脈は香辛料のカルダモンがとれる産地だったことからつけられた名前だそうですが
カルダモンの木は見たことありません(笑)
近年は森林の伐採問題などもあり、森が徐々に開拓されつつありますが、
山脈の奥深い場所はまだまだ自然に満ちた場所です。(トラやゾウもいます!)
今回紹介するトンレサップ湖側の斜面はそれほどでもありませんが、
反対側に位置する海岸線側の斜面は秘境といわれるくらい人を寄せ付けない場所で
生物地理学的にも重要な場所であり、まだ見ぬ魚がいることは間違いないです!
俺の調査でもすでに未記載種を確保しています。
こちらのレポートはまた今度しますね!
この写真は2年ほど前の調査のものですが、この時はアルジーターをたくさん採りました。
みなさん、アルジーターはカンボジアに2種類いる事をご存知ですか?
Gyrinocheilus aymonieri と Gyrinocheilus pennocki です。
慣れるとすぐに同定できますが、背鰭の軟条数や側線鱗数などを計測すれば確実に分かります。
この地域には生息するアルジーターはGyrinocheilus aymonieri です。
この時は潜水観察も行いましたがちょっと深い水深2メートルくらいの淵の底には20cmサイズの
本種が山盛りいました。まさに、アルジーターの溜まり場です(笑)
日本で見られるアルジーターはどちらの種かわかりませんがこれほど大きな個体はなかなか見れ
ませんよね。昔雑誌で見た記事によると80cmまで成長するとかありましたが、そんな個体は
カンボジアではまだ見たことありませんね(笑)いるもんなら採ってみたいです(笑)マジでっ!!
他にはスカンクボティアBotia morletiやHampala macrolepidota、Garra cambodgiensis、
Glyptothorax fuscusなど30種程の魚たちが採れました。
上の写真は投網採集で掛ったBotia morletiです!
水槽で見る時とは全然違う輝きを放っていました。
ありふれた魚ですがこうして現地で見ていると改めてその美しさに惚れ直しました。
実は本種はこのような山間部だけではなく、トンレサップ湖岸に程近い平野部の河川にも生息して
います。(シェムリアップの家の前を流れる川にもいます)
ですから、その分布域はかなり広範囲だといえますね。
続いてはHampala macrolepidota も良く知られている魚ですね。
でも、この山脈の裏側で採れる個体群はHampala macrolepidotaとは少し体型や顔つきが違う事が
あるので新種の可能性もあると思っています。
次回の調査で少し研究が進めば良いのですが・・・頑張ります!!
浅場の水中ではGarra cambodgiensisがたくさん石の表面をはんでいました。
この魚も時々ショップで見かけますね。
もし、この魚を飼う事があればこんなところにいるんだと思い起こしていただけると嬉しいです。
水槽内ではあまり良く発色しませんが、採りたての本種のカラーはすっごいキレイですよ。
赤と黒とゴールドのコントラストがくっきりと出て素晴らしいです!
今回最後の紹介は Glyptothorax fuscusです。
Glyptothorax はバガリウスに近縁なグループに属す魚です。
僕の調査でもバガリウス属を3種、Glyptothorax属を5種確認しています。
バガリウス属はどちらかというとメコン河などの大河川に生息していることが多いですが、
Glyptothorax属はやや山間部の清流みたいな感じの河川で多く見ることができます。
サイズも小さいので可愛いです。
基本的には早瀬の浮き石などの下に張り付いています(笑)
カンボジアは平野部などの低地が多いですが、国境を取り巻く周囲はほぼすべて山岳部なので
そうしたところには一味違った魚たちがすんでいます。
今後はしばらくはこれまでに行った調査の様子や家の水槽の話を中心に書いていこうと思って
いますのでよろしければ読んでください!!
読んでいただき、ありがとうございました。
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